スティーブ・ジョブズ I & II を読んだ¶
感想¶
今さらながらウォルター・アイザックソン著のスティーブ・ジョブズの伝記を読んだ。 今まで何となくのイメージしかなかったが、比較的に人物像がクリアになった気がする。
1巻目¶
1巻目は主に以下のエピソードが中心。改めて列挙してみるとなかなかのアレな人。
- 幼少期から少年期における自分の出自への葛藤(この時から、両親に捨てられたという自意識を晩年までずっと持つことになる)
- 少年期の両親からの影響や、住んでいた家のデザインへの関心など持ち始めて、デザイン嗜好の方向性の根本が決まる
- スティーブ・ウォズニアックとの出会いと、違法電話装置を作って売りさばくハッカーオタク不良少年時代を過ごす
- スピリチュアルに目覚めてインドを放浪した後、帰国してヒューレットパッカードで下働きを始める。異様な菜食主義や生活習慣(風呂キャンセル)の徹底もこのころから
- ホームブリュークラブを通して、ウォズニアックと Apple I を開発し、売り込みを始める
- アップルの創業と Apple II の開発。事業が本格的に動き始める。同時にジョブズの異様な細部と美意識へのこだわりと現実歪曲空間の能力、他者を感情でコントロールする能力が発露し始める
- 当時付き合っていた女性との間に娘のリサが誕生するが、会社の忙しさを理由に認知せず。プライベートでも現実歪曲空間を強化し始める
- 次期製品の開発をめぐって会社内が分裂。主導権を握ることに失敗し、会社から追放
- 数名のアップル社員を強引に引き抜いてNeXTを創業。アップルが市場として狙っていた教育用PCにもろ被りさせる形で、NeXTコンピュータの開発に着手
- しかし、細部や美意識へのこだわりが強すぎるがゆえに、他社のPCやソフトと全く互換性が無い設計としてしまい、商業的には大きく失敗
- ビル・ゲイツによる新進気鋭のマイクロソフトにもシェアを奪われ、人生で大きな挫折を味わう(ビル・ゲイツとの確執もこの辺から始まる)
- 失意のうちにいたが、次はピクサーへ関わり始め、多額の制作費を費やしながら『トイ・ストーリー』を完成させる
- 一方、古巣のアップルはパッとしない製品や経営戦略のずさんさによりお先真っ暗となっており、ジョブズのアップル復帰に向けた動きが始まる
2巻目¶
2巻目はジョブズがアップルに復帰後、ご存じの通り世界を変えるプロダクトやサービスを創り上げていく過程が描かれる。
人間性は相変わらずではあるけど、自身のビジョンを形にするための狂気じみた姿勢はそのまま、商業的にプロダクトを成功させて世に浸透させる目標と、それを実現させるための会社経営にも注意を払うようになり万全の状態を作り上げる。